豆腐屋の裏の倉庫

陰口と偏見が織り成すアドベンチャー

駅名記憶向上委員会15周年、おめでとうございました。 ~大事なアニバーサリーに他界隈の動画を引っ張る男~

 お久しぶりです。牛乳豆腐です。先の12月15日、私が制作している動画の核となる部分である「駅名記憶向上委員会」というジャンル(いわゆる「駅名動画」というやつ)が初投稿から15周年を迎えました。私が初めて環境Pさん創始者の方)の動画を見始めたのが2011年頃だったと記憶しているので、そこから数えても11年ほどが経過していると思うととても感慨深いものです。

 さて、先日この15周年を記念し、私と同じ駅名動画制作者であるとばかいさんを主催として2つのメドレー合作が行われました。私もこれらに参加させていただきましたので、今回はその動画について解説していきたいと思います。

 

  • 12月16日投稿「【駅名動画15周年】Re:組曲『エキメイ動画』【合作】」

 

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 実は参加者であると同時に私も主催陣の一人であったので、提出された動画の確認やパート管理などの業務を一部行っていました。また、そのよしみもあり一日目の動画はオープニングの映像を担当させていただいています。まずはそちらの解説から。

 

 動画の開始から数秒YouTubeのロード画面が入ったのち、駅名動画視聴歴がそこそこの方なら見覚えのあるであろう画面が表示されます。

2007年12月15日投稿(YouTubeでは2008年)、まさに「駅名動画の原点」である

 元ネタはもちろん環境Pさんが最初に投稿した駅名動画初音ミクガンダムSEEDのOP「Believe」で京浜東北線の駅名を歌います。」(https://www.youtube.com/watch?v=A6T0-7XRHwY)です。Windows XPなどに最初から搭載されているおなじみのフォント「MS UI Gothic」で打ち込まれているのだと思うのですが、若干ウェイトが違うことが分かるかと思います。同じ色で縁取ることで少し文字を太く見せるといった調整を加えています(まだまだ太くしても良かったかも)。因みに背景の画像は恐らくご本人が撮影したものではないかと考えており、インターネットのフリー画像としては見つからなかったのでWikimedia Commonsから最も近い構図の画像を引用しました。

 全画面表示だった駅名動画が縮小し、周りに突如としてゴチャゴチャしたものが現れます。これは初投稿の2007年当時に使用されていたYouTubeのレイアウトですね。(もっとも、駅名動画の初投稿はニコニコ動画なのでこのような画面が存在したことはないのですが...)右側の灰色ゾーンの下部、「Message」と書いている部分には本来ソースコード的なものがむき出しで書かれておりインターネット黎明期を彷彿とさせるものとなっています。ただ、如何せん私がそういった類のものに知見がないので何の意味もない文字列に変更せざるを得ませんでした。僕がもっと勉強してたら、コードを読み込むことで文章が浮かび上がる演出とかできたんですけどね~(ママタルト檜原)。

 北浦和まで歌われると同時に、映っている駅名動画のフォーマットがガラッと変わり、それに合わせて周囲のオブジェクト配置も少し変わりました。これが環境Pさんが制作した京浜東北線の動画としては2本目となる亞北ネルガンダムSEEDのOP「Believe」で京浜東北線の駅名を歌います。」(https://www.youtube.com/watch?v=BcV2PEIq4LY)が投稿された2008年4月22日当時に使用されていたYouTubeのレイアウトおよび上記動画の再現です。YouTube側としてはタブの「Categories」が消え、代わりに「Home」が設けられています。また、検索バーの右に新たな窓が出現し、「Movie」「Channels」の2つの項目を分けて検索できるようになりました。

 動画再現の方に目を向けると今でも続く環境Pさんのフォーマットがこの時点で既に完成しており、画面中央部に「HGSゴシックE」で字幕が表示された実家のような安心感がある映像を見ることができます。この動画(とその他数本)に限って言えば、画面左下にボーカルの立ち絵が表示されていて、原作の亞北ネルに対応して本合作で使用したボーカル・朱音イナリに立ってもらいました。右の概要欄に見切れてる「ドーンでダーンで...」という文字列が気になった方もおられると思いますが、これは朱音イナリのイラストおよびボーカル音源を配布しているサイトの名前なんです。はじめに - ドーンでダーンでズドドドーン。

 なおこの区間に関しては背景画像がフリー鉄道画像サイト「裏辺研究所」にて配布されているものであったため、構図も含めてほぼ原作通りに再現できたのではないかなと考えています。

 続いての区間。3本目の京浜東北線の動画初音ミクストライクウィッチーズ2OPで京浜東北根岸線の駅名を歌います。」(https://www.youtube.com/watch?v=wKMjyZm36uc)をもとに、こちらが投稿された2011年12月25日当時の画面レイアウトを再現しました。ちなみにこの画面を制作する際「Wayback Machine」というWebアーカイブを参照したのですが、正直言うと大きく違うレイアウトを拾ってきてしまった可能性が否めません。というのも、私が駅名動画を見始めた時期がこの頃で、あまりにもこの画面の記憶がないのです。この頃と言えばグレーの背景に若干紫がかったYouTubeアイコンがあったイメージがあるので「確実にこれだった」とは言い切れません。ま、これはこれで時間をかけて作っているので許してほしいです...。

 画面右側にはおすすめ動画が表示されるようになりました。これらもこの当時既に公開されていたもので、現在は閲覧ができない懐かしい作品も混ざっていますね。上から順にNh3526さん、RAKUNorthさん、VCRProjectさん、東水快速さんと、初期から駅名動画を支えてきた方々の動画を僭越ながらチョイスさせていただきました。

 再現部分としては最後の部分となる4つ目。こちらは皆さんも記憶に新しいであろう「【駅名記憶】初音ミクがブレイブウイッチーズOPで京浜東北線の駅名を歌います。」(https://www.youtube.com/watch?v=Q02CVKO3KGg)と、最新版のYouTubeレイアウトを再現しています。原作の背景画像は環境Pさん自身で撮影されたものでしたが、フリー画像サイト「写真AC」に殆ど同じとも言える画像があり、ニコニコしながらダウンロードすることに成功しました。右側の動画は上から順にhuminosato1019さん(リメイク作品であり原案は亀戸しおさん)、h jさん、kisukiline120さん、とーぐーさんと、自分が視聴者だった頃バリバリ現役で活躍されていた憧れの作者さん方(個人的に「中堅」と呼んでいます)の動画を選ばせていただきました。

 懐かしさを感じさせる区間が終わったところでここからは完全にオリジナルの部分です。この部分は画像を短いスパンで切り替えることで文字とともに楽しめる構成にしています。なお各写真には注釈がついており、年月日とその日に起きた事象を表示しました。お気づきの方も多いかと思いますが、これは駅名動画という文化が始まった2007年12月15日から現在までの15年間で京浜東北線沿線で起きた主要な出来事(主に交通系)を記しています。こう見ると東京スカイツリーの開業や上野東京ラインの開通、羽田空港第3ターミナルの供用開始など、目まぐるしく時代が変わったこと、15年というあっという間ながら意外にも長い時が経っていたことなどを感じます。

 折角の周年合作のオープニング、どうせなら今までの動画にも引っかけて何かしたいと考えながら構成を練っていたら、いつの間にか思い出ボムが完成してしまいました。15年分の歴史を1分間でできるだけ表現することはできたんじゃないかな、と個人的には満足いく作りになったと思っています。

 

  • 12月17日投稿「【駅名動画15周年】アナザー組曲『エキメイ動画』【合作】」

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 続いて私がパート制作者として参加した2日目の合作に焦点を当て、演出の解説などを行っていこうと思います。



 本来当合作はパートと参加者のみの公開で誰がどの路線をやっているかは分からない仕組みになっていたのですが、先述の通り私は主催陣でありパート表が見放題だったので「前パートとの繋ぎを作ってみよう」となりました。一つ前のパートはS.Mizuhoさんつくばエクスプレスだったので、つくば市と自パートで扱っている神戸市営地下鉄西神・山手線沿線の共通点「学園都市」を見出し、つくばエクスプレス駅名標を題材としたオブジェクトを作ってみました。つくばエクスプレスは2005年開業、学園都市駅のある西神延伸線は1985年開業なので「since」と2桁の数字を表示することで駅ナンバリングの代わりとしています。中央部のナンバリングは代用しようがなかったのでとりあえず本合作のコンセプト「15周年」としておきました。

 また、駅名標の後ろで行われているシーンチェンジは2021年7月投稿の下車合作「【合作】テツドウ動画摩電楼」(https://www.nicovideo.jp/watch/sm39023861)のJR神戸線パートを参考にしています。次のシーンもあるのでそれと同じ方向から作用する入りにしたいと思ったところこの動画を思い出した次第です。

元ネタ動画、Rokkanさん制作

 ここから本編が始まります。今回の動画制作にあたり11月14日、心のふるさと・神戸に行ってきました。神戸市は人生最高タウンなので地元の隣の県とかその辺よりも心理的距離が近く、常に通い続けたいし住みたい街なのですが、まあそんな話はさておき。実は10周年の時に私が主催した合作「【駅名動画10周年】組曲「エキメイ動画」【合作】」(https://www.youtube.com/watch?v=Hi5OBWi5Clg)では同じ秒数から始まるパートで同じ区間を歌っており、今回の合作はそのアンサーソング(?)的な立ち位置に当たります。前作が公開された2017年はちょうど神戸市交通局100周年の年でもあり、すべての車両の前面に記念ヘッドマークが掲出されていました。また、5年の間で車両はほぼ最新鋭の6000系に置き換えられてしまったので「これは素材を撮り直さないといけないな」と思い足を運びました。時代の移り変わりを表現する材料としてはもってこいだったのでちょうど良い機会でした。

 西神中央から学園都市までの区間では画面を細長く分割しそれぞれの駅で撮影した映像を流す構成となっています。ここでのこだわりポイントは「左から右へ発車する映像」と「左から右へ入線する映像」を交互に差し込むことで、車両先頭部が左右互い違いになりバランスが取れるというところです。因みに全く意識していなかったのですが、これと全く同じ構成を過去にしれっと参加した大変な途中下車シリーズの内輪合作でやっていたことに気が付きました。せっかくなので宣伝しておきます。→救済“salvation” - ニコニコ動画

 総合運動公園の区間は改札を出て撮影した映像を使用することで一瞬ではありますが沿線の紹介をするパートになっています。ここでは神戸市総合運動公園内の野球場ほっともっとフィールド神戸が映っています。野球ファンの間では「ほもフィー」と略されることもしばしばあるこの球場はプロ野球チームオリックス・バファローズがまだオリックス・ブルーウェーブだった頃に本拠地として使用しており(当時の名称はグリーンスタジアム神戸)、現在も年に数回主催試合を行っています。オリックスは2022年シーズンにパ・リーグで優勝したこともあり駅前の掲示板には優勝を祝うポスターが多く掲載されていました。リーグ優勝後に行われる「クライマックスシリーズ」で贔屓球団である東京ヤクルトスワローズ叩き潰された私にとっては苦痛のポスターでしかなかったんですけどもね。ちなみに構内での入線映像は前作で使用した映像と同じ立ち位置で撮影していて、途中で車両が切り替わる演出も考えていました。

 名谷から妙法寺にかけての区間。2駅の駅名標がイージング回転により切り替わるシーンで、前作のリスペクトとなっています。なお、回転の向きは前作とは逆です(合わせたと思ったら逆になってたってだけ)
 総合運動公園からここまでにかけての文字オブジェクトは2020年3月に行われた大変な途中下車シリーズの合作「【みんなで】七色のチカテツ動画【もう一度】」(https://www.nicovideo.jp/watch/sm36502724)の東京メトロ銀座線パートを参考にしています。四角形にわざとズラして文字を配置しているのが推しポイントですね。本当は完全に切り抜いても良かったのですが元ネタ動画とは違い画面が明るくて背景と同化して見えにくいため、文字の部分を若干黒くしてみました。

元ネタ動画、anneさん制作

 妙法寺から板宿までの間のシーン。下奥から板宿駅駅名標がいくつも出てきます。地下区間にある島式ホームの駅では正面の壁にラインカラーが引かれ、等間隔に駅名標が設置された構造になっています。また、駅名標はアルファベットや隣の駅が表示されたものも配置されていますが、ここではよりシンプルな漢字のみ表示されたものを採用しています。このシーンにも元ネタがあります。それがこちら。

元ネタ動画、EastMtさん制作

 下車作者のEastMtさんが2020年12月に制作された一人合作動画「【日本縦断】 TRIPMAD's 20 【CTSKOJ】」(https://www.nicovideo.jp/watch/sm37990219)のワンシーンです。JR北海道駅名標が勢いよく下から飛び出す特徴的な映像構成ですね。明確にここから取ろうとしたわけではないのですが、頭の片隅にこういった映像が残っていて、自パートの制作後に思い出してみたらここに辿り着いたという感じでした。

 続いて個人的にこのパートの核だなと思っている板宿から湊川公園にかけての区間。各駅に関連する映像が書道チックな文字とともに和紙の上に塗り広げられていきます。字幕の色が駅ごとに異なるとところに前作イズムを継承していますが、本作では明確に色の理由があります。非常にわかりやすい手法ではありますがこれらは「乗り換え路線」の色になっているわけです。板宿は山陽電車オレンジ系、新長田は神戸市営海岸線とJR神戸線青系、長田は神戸高速鉄道区間に入るため地下を意識した灰色系、上沢は乗り換えが無いので自路線の緑系、最後に湊川公園神戸電鉄赤系という感じですね。この部分の映像は他者様からの影響はあまり受けていないと思っていましたが、根底を考えてみると私の推しアーティストである「ヨルシカ」の中で最も好きな楽曲「藍二乗」のMVサビ部分における、画面全体にインクを垂らしたようなシーンに行き着きました。その演出が本当に好きでJR芸備線他の動画や寝台特急あかつきの動画など、これまで様々な動画で取り入れてきた経験もあります。ヨルシカ - 藍二乗 (Music Video) - YouTube

 終わりに差し掛かる頃である大倉山から三宮までの区間。地下で撮影した入線・発車・その他もろもろの映像をふんだんに使用しています。「一目見ただけでは何が何だかわからないけどとりあえず素材量が凄い」みたいな動画を作りたかったのでこちらで実践してみました。切り替えにシーンチェンジを使用せず合成モードを「輝度」や「比較」などに変更して2映像を同時に表示する方法は最近ほかの動画でも取り入れがちですね。素材の中で推しなのは上記画像にもある時計のものです。ちょうど分を刻むシーンを撮影するために運が悪いと数十秒棒立ちする必要がありますが、何かで使いたいと思い同様のシーンを各鉄道路線で集めているので自分が行ったところは大抵この素材を撮影済みです。あとこれ朝の7時です。確か長田神社前か上沢あたりの素材だったかと思いますが三宮には5時半ぐらいに着いてます。間の各駅で降りて数パターン素材を撮影しているので5駅ぐらいで2時間弱かかってますね。気合い入りすぎでしょ。

 ちなみにこのシーンで参考にした動画は先ほども登場した「【合作】テツドウ動画摩電楼」阪神電車パートです。漢字の後ろにアルファベットを置いているところとかは参考とかではなくもうパクリレベルなので訴えられてもおかしくありません。

元ネタ動画、anneさん制作

 足元のドア位置表示が両端に配置されているところや1種類の色系統で統一されていて散らかっていないところなど本当にデザインが洗練されていて、掘り下げるとコメントするところがたくさんありますよね。

 やっと最後のシーンに入りました。三宮から谷上までの区間では先ほどのシーンの字幕の雰囲気を残したまま真ん中に集約しています。ここのフォーマットが大きく変わっていない理由は簡単、先ほどと同じ動画を参考にしているからです。これもほぼパクリ。自分にできるアレンジは周りの素材をできるだけ増やすことくらいでした。最初は上下に白帯まで置くつもりでしたが、流石にと思ってやめた記憶があります。

元ネタ動画、anneさん制作

 以上、久しぶりに開催されたメドレー合作で気合を入れまくった結果、ほぼ下車インスパイア系ラーメン屋さんになってしまいましたという話でした。基本的にこういった合作では駅名動画以外を参考にして作ることが多く、あまりにもやりすぎると今回みたいに下車だけ見続けるという事態が起きます。参考にする場所はもっとあると思うので次はニコニコ動画の音MADの海を泳いでくることにでもしましょうかね。

 今回15周年という節目にこのような合作に参加できたことを光栄に思っています。また大規模なメドレー合作が開催されて、それに参加できる機会があれば嬉しいですね。

 駅名動画は進化を繰り返して確実に次の時代へと向かい続けています。未来の駅名作者の登場を楽しみにしながら、これからの駅名記憶向上委員会における益々の発展を祈って私は再び洞窟に籠って細々と生き続けることにします。ここまで長々とした文章にお付き合いいただきありがとうございました。それでは、また。